サムネイルデザインの先
サムネイルの力
ソーシャルメディア、どんなものを使っていますか?Twitter、youtubeやInstagram、Pinterest、TikTokなどずいぶん種類も増えましたね。voicyやClubhouseなど音声に特化したものもあったりして、暇があれば開いてしまう人もいるのではないでしょうか。
私の場合、日常的に使っているのはyoutubeです。
制作をするときにBGMとして曲を再生したり、体のメンテナンスがしたいときにエクササイズや筋トレ系の動画を探したりするのですが、検索すると気になるサムネイルがずらりと表示されてどれを見ようか迷ってしまいます。
上の画像例のように、サムネイルには内容がすぐ分かるような文字と大きな写真を入れるのが今や主流。忙しい毎日にスマホをスクロールして「これ見よう!」とパッと思えるのはとても便利です。どんな動画なのか判りやすいので探す手間も省けて時短になります。
本来の動画タイトル欄よりもサムネイルの方が目立つので、そちらの方が動画の顔のようです。
このとき私たちの脳内では無意識に、“サムネイルデザインから得るイメージによって、動画の中身の印象を決めている”ということが起こっています。日常的にソーシャルメディアを利用している方にはなんとなく分かる感覚ではないでしょうか。
どのマーケティング教材や動画作成関連のブログにもサムネイルのデザインは大事!と挙げられているのも頷けます。
このようにソーシャルメディアのホーム画面に目立つサムネイルデザインが乱立するようになった訳ですが、とにかく訴求力重視で作られています。少し前までブログのタイトルで見かけた「〇〇できる3つの方法」「いかがでしたか?」系の記事も一時期ネット上に溢れました。興味を煽る文言としてかなり使われていましたね。
「いかに目立って興味を引くか」は販促の基本ではあるものの、最近そのようなサムネイルが溢れすぎているのではないだろうか?と思うことがあります。
サムネイルや投稿内容によって元々のメディアの特色(ブランディング)がどんどん無くなってきているものもありますし、訴求力を追求したサムネイルがホーム画面に溢れて頭打ちになった先はどういう流れになっていくのだろう?…と個人的に考えてしまいます。
文字で訴えかけられる要素が多いと内容が分かりやすい反面、情報過多にも感じる人もいるようで「派手なサムネイルが並んでいて落ち着かない」「サムネイルを見るのがしんどい」といった声も目にしますし、この先一周回ってシンプルなサムネイルデザインが流行ったりしたら面白いですよね。
国民性とデザイン
国内のソーシャルメディア内ではサムネイルの写真や画像に説明文やキャッチを載せているものが多いのはお気付きの通り。
下記画像は「集中力を高める音楽動画」のサムネイル例です。Aは海外の方が投稿したもの。シンプルでスッキリとした印象で、動画タイトル欄が本来の役割を果たしているのに対し、Bの国内の方が投稿したものでは文字を入れていて動画タイトル欄がサブタイトルやタグの役割のようになっています。
A.
B.
とにかく日本では「誰にでもわかるように広告を作れ」という広告制作の文化がありますので、大きな文字で簡潔に説明しないと誰も読みませんし、判ってもらえる機会が減ります。
なので制作側は一段も二段も自分の目線を下げて考えて作っていきます。そしてさらに集客にも重きを置くため、多くの人に内容を分かってもらえるような説明が多い広告が多くなっているようです。なのでサムネイルもその流れで文字を載せているものが多いのでしょう。
またサムネイルに限らず、映画のポスターを例にとっても、海外のものはビジュアル重視でタイトルロゴとキャストの名前くらいしか書かれていませんが、日本のポスターはタイトルロゴとキャストの他に、大々的なキャッチや冒頭のあらすじ説明、どんな賞を受賞したのかなど説明文がよく入っています。
集客のために「説明」をして興味を持ってもらう、という流れが垣間見えますね。(映画の料金が年々上がっているのも流れに拍車をかけている気もしますが)
自分のことながら日本人はデザインに「説明」があると安心する国民性なんだなぁ、と思います。本来のサムネイルとは、画像や印刷物ページなどを表示する際に視認性を高めるために縮小させた見本のことですが、国内と海外では国民性によって伝えたい要素の重要度が違う場合があるのだと勉強になりました。
日本は中学卒業と同時にデザインや美術について学ぶことがほぼなくなります。
デザインや美術関係の進路に関わる人でなければそれっきり、なんてこともよくありますよね。デザインを学ぶ機会が少ないので効果や善し悪しがわかりにくく、いざ何かやろうとしたとき、誰かが一度成功した方法を真似るしか方法が思いつかなかったりもします。
なので難しいのかもしれませんが、この先「みんな同じにしなくていいよね!」というオリジナルデザインのサムネイルが溢れる日が来たら、それもまた楽しそうだなと思います