「シニア向け」デザインのポイントは?

シニア像の立てづらさ

 

グラフィックデザインを考えるとき、対象となる人物像(ペルソナ)を設定することがよくあります。

しかし通常人間は「自分が経験・体験してきたこと」しか判断ができません。想像できるとしらたせいぜい自分が生きてきた歳までのこと、それから親世代あたりまで。

 

なので対象とする人や世代のことを「知ること」「調べること」がとても大事になってきます。

そのうえで、一般的にどんな生活を送っているか、何が好きな世代かや、年収はどうかやどういう価値観を持っている人が多いかなどを細かく考えて人物像を設定していきます。

 

 

私は過去シニア向けの製品チラシを作ろうとしたとき、なかなか人物像が立てられず困った経験があります。

依頼側の説明を聞いて上澄みを理解したつもりでも、いざコピーやレイアウトを考えたときに自分の中の情報が足りていないせいで「さてどうしたものか…」となったことがあります。なぜなら、その製品を使う場面や効果は分かっても、それを使う人たちの基本的なことが分かっていなかったからですね。

 

元気な方もそうでない方もいらっしゃるシニア世代。この自分中の「情報が不足している層」にどのようにアピールすればいいのでしょうか。

 

 

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シニアは統計学上、前期高齢者(65〜74歳)と後期高齢者(75歳以上)に別れます。
「アクティブな層」では、金銭・時間ともに余裕がある人もいるだろうし、元気に働いてる人、支出を抑えながらの年金暮らしの方もいます。「周囲に支えられる層」となると、家族やサービスによる生活補助が必要な人、グループホーム等に居住を移した人などが当てはまります。

 

また視力低下といった体の衰えや心の状態も千差万別で、このひとくくりにはできない取り巻く環境の複雑さも人物像の立てづらさにつながっているのだと考えます。祖父母が健在であれば話を聞くことができますが例えそれができたとしても一側面だけの例であり、難しいことには変わりはないですよね。

 

 

また、「シニア向け販促」と言えば、今までは元気でアクティブな人たちに向けたものが多かったように思いますが、これからはこのアクティブな層が減り、周囲に支えられるシニアの人口層が増えていきます。

後者のシニア人口が多くなるということはつまり、より加齢に配慮した表現やレイアウトが必要になってくるということ。情報というのは見た人に伝わらなければ無視をしてもいいものと無意識に判断されてしまうものです。作る側としてはなんとか回避したいところです。

 

 

「伝える」ためにどんなことに気を配る?

 

糸口を掴もうとヒントを探していたときに出会ったのがこちらの見た目が派手な本でした。


 

この『販促コピーとデザイン「売れる」公式50  売上UPの秘訣は「シニア目線」にある!』のそもそものコンセプトは、「販促物をシニア目線で作れば他の世代にも分かりやすく効果的だから、まずシニア目線を知ろう!」ということなのですが、内容がとにかく分かりやすくシニア像を練り直すことができました。

2018年に出版されたものでやや古いのですが今読んでも十分役に立つ知識です。

 

収録内容は具体的に、

1章 伝わる販促物作成の基本
2章 シニアの心理でコピーをつくる
3章 シニアの目でデザインする
4章 シニアも戸惑わないWEBデザインと構造
5章 シニアに届くコンタクトポイントはどこ?
6章 さらにシニアを狙うなら!One to Oneマーケティング

となっています。

 

 

シニア世代が普段どんなことを不満に思っているのか、加齢の影響をふまえてのデザイン制作のポイント(適切な版面率や文章量など)、コピーの書き方やレイアウト、配色のことなどためになる情報が盛りだくさんでした。

 

さらに安心してウェブサイトを利用してもらうための施策の例も紹介されています。

巻末の「シニア像の10大間違い」のページでは、グラフや表を用いて、私たちが考えがちな「シニア像」の間違いを説明しています。

 

シニア向けの販促を作るにあたり、どこにポイントを置くか、どのような配慮が必要か具体的に思い浮かばない場合はぜひ読んでほしい一冊です。

「なるほど!」となりますよ。